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アルマたちと絆の樹(小説)

アルマたちと絆の樹 第4章~

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第4章 新しい仲間

4月B



新しい季節「春」へと入り蕾だった桜が咲き誇り満開へとなっていた。
気候も寒くなくなり、暖かい日差しに私たちは陽気な春日和を満喫していていた。

「私たち」というのは、不思議な猫姉妹に守護魔、そして、モンスターが擬人化したアルマたちのことである。
ここアミス先生の学校は、冒険や探検といった知識を教えるのではなく一般教養といった普通の授業を行う学校だ。

始まって4ヶ月、生徒数は私を含め10人になっていた。
そこに新しく生徒がまた一人増えることになった。
鼻歌を歌いながら陽気に金槌を釘に打ち付ける音がアミス先生の飛空庭から響きわたる。
紅屋板を下から上へ下から上へと運び、またトンテンカンっと響く。

私が飛空庭へと昇ると飛空庭の奥に小さな校舎が立派に建っていた。

「レーヴェリスちゃん!見て!」
「こんなに立派な校舎が出来たのよ!」
「本当に、ウヅキちゃんにはなんてお礼を言ったらいいか・・・!」
アミス先生が喜びのあまり校舎を建ててくれた彼女の手を握る。

「ううん、あたしは何も!」
「昔、初心者学校にいたことがあったから、そっち方面にツテがあただけだよ!」
「みんなが喜んでくれて、あたしも嬉しいなっ!」
黒い髪のポニーテールが焔のように紅く染まり、黒いセーラー服、白の上履きといった学生スタイルの彼女は少し照れくさそうに言う。
彼女の名前は『守護魔・ウヅキ』4月を守る守護魔である。

「先生、ただいま~っ!」
そう言い、3人組の少女が帰ってきた。
幼い少女のように見えるが彼女たちこそがモンスターが擬人化した姿だ。
ダークフェザー、バウ、シャボタンの3人である。

「おかえりなさい、探してた子は、見つかった?」

「ううん、見失っちゃったわ。・・・私たちと同じ子だと思ったんだけど」

「においがどこかへ行っちゃたです」
「もうこの街にはいないかもしれないです・・・」

「もしかして、絆の樹の声が聞こえない子なのかな・・・?」
どうやら3人は他にいるアルマを探しに街を練り歩いていたようだ。

「さあ、そろそろ次の授業の時間よ」
「みんな、教室に入ってね」
アミス先生は手をパンパンと叩いて出来立ての学校の中へと入っていく。

「お嬢、わんこ、しゃぼりん!」
「しっかり勉強するんだよっ!」

「おじょう? わんこ? しゃぼりん?」
3人はそれぞれ呼ばれた名前を口にする。

「おー、一気に言っちゃたのに皆自分の『名前』がちゃ~んとわかったんだね!」

「なんで私が『おじょう』なの?」
「私の名前は『ダークフェザー』よ」
「バウが『わんこ』でシャボタンが『しゃぼりん』なのはなんとなくわかるけど・・・」

「名前はね、その子の本質をそのままズバッと言い当てる、大切なおくりものなんだよ!」

「気品があって、きれいで、教養がある女の人のことを『お嬢様』っていうから、きっとそれだよ、ダークフェザーちゃん!」

「しゃぼりん、正解!」
ウヅキはビシッとシャボタンを指差す。

「えへへ・・・!」

「私、がんばって勉強するわ お嬢様だもの」

「ぼくもがんばるです!『きょうよう』を見つけるです!」

「みんなで勉強して、立派な人になろうね」
そう言って3人は教室へと入っていった。

「さて、っと・・・」
ウヅキは少し黙って改まって私に言い出した。

「あの子たちの前ではいえなかったんだけど、お願いしたいことがあるの」
「あの子たちが探していた子・・・つまり、『人の姿になれるモンスター』もしかしたら、危険な存在かもしれない」

危険な存在、その言葉を聞くのは初めてではない。
最初のアルマ、ダークフェザーを見つける前に1月の守護魔ムツキも同じことを言っていた。
だが、彼女はダークフェザーを危険な存在ではないことを理解してアミス先生に頼み教養を身につけることにしたのだった。

だが、ウヅキにとってはまた別の脅威を持っているっと考えていた。
それは・・・

「あたしの『力』に響いてくるの」
「人間に対する激しい怒りと苦痛・・・、この街でこんなもの感じたことなくて、さっきから、震えが止まらないの・・・」
「人間に対して、こんな強い憎悪を人間が持てるはず無いわ!」
「人じゃない誰かが、人に対して敵意を向けてるのっ!」
「その子は今、東アクロニア平原・・・たぶん初心者学校の近くにいるわ」
「お願い!あたしに力を貸してっ、レーヴェリス!」
人への憎しみを持つ、アルマ・・・
それは存在するのだろうか?
私は気になりウヅキの依頼を受けることにした。






東アクロニア平原。
豊穣の領土を持つファーイーストは主に農産業、家畜といったものを商人が輸出するために通る街道だ。
四方の中で最も人が通るこの街道にそのアルマはいるのだろうか・・・?
ウヅキは初心者学校の傍で突如、膝をつき唸りだす。

「こっ・・・この感覚・・・!」
「なんて激しい感覚なの!?」
「肌がビリビリするみたい・・・!すごく近い・・・!」
「・・・あっ!あの子・・・!」
「あの子だよ!・・・あれっ・・・?」
「苦しくて、辛くて・・・これは・・・これは、あの子の・・・?」
平原の道を南へと走っていく一匹の狼。
あれは、ローキーと呼ばれているモンスターだ。
普段は海岸の洞窟に生息するはずで、このような人通りが多い場所にくるのは珍しかった。

私とウヅキはその狼を追った。


4月C



少し学校から離れた場所で、そのローキーはぐったりと横に倒れていた。
なぜ倒れたのかひと目でわかった。
ローキーの体からポタポタと赤い液体『血』を垂らしていたからだ。

私は一刻も早く手当てをしようと近づくが、ローキーは明らかに警戒して私を見て唸っていた。
触ると噛み付く、そんな顔だった。
その時、横から一人の優雅な着物を着た碧い猫耳の少女が近寄りローキーの手当てをしようとした。
ウヅキは「危ない!」っと叫ぶも着物を着た少女は手を差し出す。

ガブッ!案の定、差し伸べた少女の手をローキーは噛み付いたのだった。

手から血がにじんでいてポタポタと下へ血が落ちていく。
それでも彼女は少し苦痛の顔をしながらもローキーの傷口に布を当てて出血を抑えていた。

「あ・・・私のことはどうぞご心配なく私よりも、こちらのお方を・・・」
優雅な着物を着た少女はそれでもローキーの心配をしていた。

「アォォォ~~~~ン・・・!!」
ローキーは、助けを求めるように甲高い遠吠えを上げている。
急がないとローキーの命も関わるし仲間も呼ばれて狼の群れがここへと集まってしまう。
少々危険だが私も近づいた。
私がローキーの注意をそらして着物を着た少女にローキーの応急処置を任せるようにした。

「ガルルッッ!」
ローキーの牙が食い込み、激しい痛みが走る。

「ご無理はなさらないで! このままでは、あなたが・・・!」
だが、それでも私はローキーを殴ったり振りほどいたりしなかった。
私はそっと、ローキーの頭を撫でて警戒を解いてあげようとした。

少しづつだがローキーの体から力が抜け噛み付かれた手を抜くことができたがかなり深く牙が食い込んだようだ。
血が止まらなかった。
ローキーは全身から怒りが消え、深く澄んだ瞳で見つめてくる。

「・・・くぅ~ん・・・」
そう鳴いてローキーが私の手の傷を舐めてくれた。

「助けようとなさっていたことが、ローキーさんにも伝わってたようですね」
「まるで謝っているみたい・・・」
着物を着た少女は、ほっと安心した。

「レーヴェリス大丈夫か!?」
ウヅキがいないっと思ったら先ほどの初心者学校から救急箱を取りに戻っていたらしい。

「早く手当てをしないと、その子の命が・・・・・・痛っ!」
着物を着た少女も血で染まった手を抑えた。

数分後・・・
ようやく私、着物を着た少女にローキーの手当てを無事終えた。
ローキーは、ケガのせいかぐったりとしていて元気がない。

「それにしても、変わった毛色のローキーだね」
「毛並みも整っててとっても綺麗・・・、この辺では見たことないよ」
ウヅキはジロジロとローキーを見つめる。

「・・・・」
「ケガの手当ては出来たけど、このお方、ひどく弱っています・・・」
着物を着た少女は包帯の手を抑えて心配してローキーを見つめていた。

「大丈夫? ええと・・・」

「あさぎ・・・私は浅葱と申します」
「どうぞ良しなに・・・私の方は大事にございません」
「このお方、とっても怖い思いをしたみたいです。私にもおびえていました」
「・・・体だけじゃなくて、心も、深く傷ついている・・・」
このままではローキーの容態は悪化するのかもしれない。
だが、モンスターの傷を癒す方法はあるのだろうか?

「私、とてもよく効くお薬を作れる御方を存じております」
「その薬が、もしかしたら この方に効くかも知れません」
「・・・少々気難しい 御方ではあるのですが、お薬を分けていただいてきます」
そう言って平原のさらに東へと歩いていった。

ウヅキはワナワナと怒りを露にしていた。
「この子にひどいことをした悪いやつがいるんだね」
「この子の心を救うために、ひどい目にあう子をこれ以上増やさないため」
「そいつをこらしめなきゃ!」
彼女もそう言い残しどこかへ行ってしまった。

私は眠っているローキーの介護をしながら待つことにした。

浅葱とウヅキ彼女達は今頃何をしているのだろうか・・・。











4月E



東平原の初心者学校の前を2人の男女が言い合いを始めていた。
その声は周辺にも聞こえるぐらいの大きな声だった。

「まったく、使えないわね」
「せっかく手に入れたのに逃がすなんて!」

「へいへい、悪かったよ!みーんなオレのせいだよな!」

「そーよ、あんたのせいよ、ダーデン!」
「死んだふりなんかにひっかかって!」

「いや、ありゃあ死んだふりっつーかよ・・・」
「・・・っへ! そもそも、オレのトラップがあったから捕まえられたんじゃねーかよ!」
「おめーのトラップなんかバレバレだったじゃなねーか、ドリス!」

「そのバレバレのトラップに足をつっこんで台無しにしたのはどこのバカだっけー?」
ドリスは鼻で笑った。

「バカだ、バカだとは思ってたけどまさかローキーよりバカだったとはねっ!」
「このスカタン!」
「とにかく!かなり弱ってたし、まだその辺にいるはずよ!」

「わーってるよ!とっ捕まえたら、今度こそ・・・」

「・・・っ!あいつらが犯人・・・?」
2人の会話を聞いていたウヅキが駆け寄り問い詰めた。

「・・・あんた、だれ?前にどこかで会った?」

「あたしはウヅキ。昔、この学校にいた者よ」

「卒業生か?なんにしろ、あんたにゃーカンケーねぇ話だよ」
「首つっこまねーでくれ!」

「ちょっと待って、ダーデン!」
「もしかしたらこいつ、あたしたちが捕まえたローキーのこと、知ってるかもよ?」

「なんだと!?」

「・・・よぉウヅキ、あのローキーはオレたちのなんだよ!」
「居場所知ってんなら教えろよ!隠すと承知しねぇぞ!」
ダーデンは恐喝を始めた。

「その前に1つだけ教えてローキーを捕まえて、どうするつもりなの?」

「そんなの決まってるでしょ?」
「あたしたちの冒険の役に立つように、きっちり教え込むのよ!」
「モンスターとして駆除しようってわけじゃないんだから互いにとっていい話でしょ?」

「それに、あんなに綺麗な毛皮を持ったローキーは滅多にいねぇからな!」
「あれをペットにできれば、オレもモテレンジャーになれるってもんだぜぇ!」

「あんた、サイテー」
ドリスは呆れ果てていた。

「はぁ?冒険者ってのはモテてナンボだろーがよ!」

「ペットにしたいからって、トラップで無理やり捕まえて、痛めつけるなんて・・・!」
「あの子、死に掛けてるんだよ!?」

「ダーデン!こいつやっぱり、あのローキーの居場所知ってるんだよ!」

「へっ?・・・あっ、そうか!」
「・・・よぉウヅキ、あのローキーが死に掛けてるってんなら尚のこと、返してもらわねーとな!」
「痛い目みたくなかったら、ローキーとこまで案内しろよ!」

「キミたちには渡さない」
「なんでも力ずくで手に入れられると思ったら、大間違いだよ!」

「力ずくだとぉ!?・・・おもしれぇ、上等だ!」

ウヅキの怒りが頂点に達した。
ウヅキの左目が光出し全身から赤いオーラを放つ。

「出でよ!妖刀『緋之迦具土』!」
ウヅキは空中に黒い円を描きだしそこに手を入れ異空間からみるみる大きな刀、大太刀を出してきた。
金の唾に刃渡りが黒炎の鋭い刀だった。

ダーデンとドリスは慌てふためき「ちょ、ちょ、待って!」と言葉にならないぐらい取り乱しいていた。

「自分が何をしたのか思い知らせて、反省させてやる!」

「次元(ディメンション)!」
「龍牙(ドラゴニック)!」
「剣嵐(ソードストーム)!」
ドリスとダーデンは剣風に突き飛ばされ、さらに遥か上空へと吹き飛ばされる。
数秒後・・・ドサドサと2人とも落ちてきた。

「今の必殺技の威力は120t・・・」
「・・・でも、ローキーはもっと苦しくて、怖い思いをしたんだよ?」

どうやら手加減をしていたようでぐったりとしているがダリスとダーデンは生きているようだ。
ウヅキが強いのもそのはず、去年のウル事件でもその片鱗を見せたが守護魔の中でも近接戦闘1、2位を争う
ヤヨイと並ぶほどの強さをもっていた。

ただ、1つだけ難点なのがウヅキ自身が病的と言えるほどの『設定』持ちだった。
まったく話に関係なくとも、その『設定』でより意味深になったこともあった。
先ほどの必殺技もその1つである。
このようになってしまったのもウヅキが守っていた『ある人』のせいとも言える。

かくして、この戦いは2人が反撃も出来ずに終わったのであった。

「・・・わざとじゃなかったの」
「傷つけるつもりは、本当になかったの・・・」
「あたしたちはただ、あのローキーを飼いたかっただけで・・・」
ドリスは弁解を始めた。

「あいつが警戒して全然近づけねぇから、トラップにかけて捕まえたんだけどよ・・・」
「オレのトラップが雑な作りだったから、必要以上に傷つけちまったんだ・・・」
ダーデンも反省しているようだ。

「・・・動物は、便利な道具じゃないのよ!」
「野生の動物を捕まえて無理やり力でねじ伏せたって言うことを聞くこはできっこないの!」
「ちゃんと心を通わせて、本当の仲間に友達にならなきゃ!」

「なんで忘れたんだろ」
「あたしがなりたかったのは動物と信じあえる・・・そんなレンジャーだったのに」

「ああ、オレたちゃ、そんな冒険者に憧れてたんだよな・・・」

「こんなあたしたちじゃ、あのローキーの主人になんてなれるわけなかったのよ・・・」

「・・・今からでも、やり直せるかな・・・」

「もちろん!人はいつだって新しい明日を目指せるんだよ!」
ウヅキはガッツポーズで2人を諭した。

「ありがとうよ ようやく目が覚めたぜ」

「本当にごめんなさい・・・ローキーにも、そう伝えてくれる・・・?」

「・・・うん、わかった。キミたちの想い、絶対あの子に届けるよ」
そう言ってボロボロになった2人は街の病院へと向かった。






4月I



桜が舞い散る桜の並木通りとなったファーイースト街道。
ウヅキの仕置きが終わった、ちょうどその頃、浅葱は一人である人物と・・・お茶を飲んでいた!
相手は浅葱が先ほど言っていた『薬師』だった。
「あの・・・薬師様、そろそろ薬を頂きたいのですが・・・」

「まぁまぁ、慌てない慌てない」
急いでいる浅葱を前にのんびりと話す薬師。
「それで、何の薬が必要なんだい?」

「え、えっと・・・」
ようやく本題に入れたがどう説明したらいいものか。
モンスターの処方薬なんてものが存在するのだろうか?
だが、言い訳や違う言い方をしても余計に時間がかかるため、やもなくローキーであることを話したのだった。

「なるほど、野の獣か・・・」
「・・・・」
「それは、高いぞ?」

「お金・・・ですか。いくらぐらいでしょうか?」

「普通の庶民が買えるような値段ではないよ」
「だが、まぁそうだな・・・」
「桜餅だ。私は桜餅が食べたい」

浅葱の「はい?」という言葉も無視して「桜餅が食べたい」と急かすばかりだった。

「桜餅で済むのなら安いものだろう?それとも本当にお金を払う気かい?」

どうやら、何か訳ありだと察してくれたのだろうか。
それに気づいた浅葱は桜餅を作ってあげた。

「うむ、美味」

「あの・・・薬師様?薬を・・・」

「まぁまてまて。お茶も出してくれないか」
急いでお茶を煎れた浅葱は今度こそ・・・!

「うむ、ごちそうさまでした」
「ほら、これが薬だよ」
待っていたが如く、食べ終わった途端、懐から小袋を取り出し浅葱に渡した。

「私の薬は即効性だから、早く良くなるはずだよ」
「だが、起き上がってもすぐ無理に動かないように」

浅葱は「は、はい」と言うと、薬師は牛車へと乗った。
オレンジ色の珍しい牛で後には薬師が乗るための荷台があった。

「さて、私はそろそろ行くよ。もうじき桜も枯れるし、ここも暑くなるからね」
「さあ、何をしているんだ?君もさっさっと行くんだ」

そう言ってゆっくり、のんびりと牛が「モォ~」と鳴きながら東へと進んで行った。

とりあえず、薬師から頂いた薬を持って東アクロニア平原へと戻る浅葱だった。






ようやく2人が戻ってきた。
浅葱の手には先ほど手に入れた薬が入った小袋を持って。
ウヅキは微妙に服がボロボロで戻ってきたが一体何をやってきたのだろうか?

「お待たせしました。レーヴェリスさん」

「ローキー、もう大丈夫だよ」
「安心して大丈夫」
「あたしが、ローキーを傷つけた奴等をこらしめてきたよ」
「ローキーを無理やり捕まえたこと、すごく反省してた」
「もう二度としないって約束してくれたよ」
「ローキー、キミを傷つけるヤツはもうどこにもいないから安心していいんだよ!」

「・・・くぅ~~ん・・・」
少し弱々しくも返事をしたローキー。

「・・・安心したようですね」
「心なしか、お顔が安らかになられました」
「この薬をローキーさんに飲ませましょう」
「薬師からいただいたすぐによく効く秘薬です」

浅葱は小袋から緑色の粉末を取り出し手に平に少量だけ出して持っていた水筒でローキーに薬と一緒に水を飲ませた。

「・・・・・・(ぴちゃ、ぴちゃ・・・)」

「さあ、あわてないで・・・ゆっくり飲み干して・・・」

ちょっと苦そうな顔をしたが全部飲んだようだ。

「ガウッ♪」

「すごい・・・もう、元気になったんだね!」
ウヅキは嬉しそうに言う。

「うふふ、薬師様の秘薬は、それはもう何にでも、たちまち効いてしまうんですよ♪」

「くぅ~んっ♪」
ローキーがしずしずと寄って来て、足元に座るとほおずりを始めた。

「くぅ~ん、くぅ~ん♪(すりすり)」

「その子、レーヴェリスさんのことが一番好きみたい!すっごいなついているよっ!」
その後、ウヅキにも浅葱にも同じようにしたところを見ると単にお礼を言っているようにも見えた。


「うふふ、あ、でもまだあんまりはしゃぎ過ぎちゃダメよ?」
「治ったばかりなんだから」

「ガウッ♪」

「ほら、先言うこと聞かないと傷口が開いて・・・」

「・・・っ!?」

「!!」
それは、一時の安らぎが突然断ち切られた。
3人とローキーの周りに1匹、また1匹と野生のローキーが現れたのだった。

「・・・今度という今度こそ、絶対間違いない・・・」
「ずっと感じてた、人間への憎悪、凶暴な力の気配・・・」
「街に入られたら大変なことになるっ!」
ウヅキは左目を光らせ刀を構える。

「あのローキーたちは・・・気配の正体はあのローキーの群れだったんだ・・・!」
「気をつけて!囲まれてる!」
3匹、4匹、徐々に増えていくローキーたちの後ろからドシン!と大きな足踏みが聞こえてきた。

4月F



「グルルッ!ガァァーーーッ!!」

「っ・・・!」
ついに、とてつもなく大きな巨狼が現れてしまった。

「グルルゥゥゥ・・・・!」

「な、なんて大きさなの・・・!」
「こんなやつが街の近くにまで来るなんて・・・!」
「気をつけてレーヴェリス!」
「この子たち、人への怒りと憎しみで、正気を失ってる・・・!」
「・・・かわいそうだけど、人を襲うつもりなら・・・」

もはや、戦うしかなかった、その時だった。
ケガをしたローキーが浅葱、レーヴェリス、ウヅキの目の前に飛び出たのだった。

「アオオ~~ンッ!」

「ローキー・・・どうした!?危ないから下がっ・・・」
ウヅキがローキーに触れようとした瞬間、一筋の眩い光を全身から放った。






4月G


光が消えると同時に現れたのは、ローキーではなかった。
一人の人間の少女だ。
赤い和傘に鮮明な緋桜の艶やかな着物、ふさふさの獣耳に尻尾、美しい金色のロングヘア。
その少女が、私たちの目の前で両手を広げて守ろうとしていた。

「・・・ローキー、なの?」

「そ・・・そのようでございますね・・・」
ウヅキと浅葱は呆然と立ち尽くしていた。

「聞け!聞くのじゃ!わが同胞(はらから)よ!」
「見よ!私はここにおる!」
「このお方たちを傷つけることは私が決して許さぬ!」
その一言で周りの野生ローキーたちは少し怯む。

「グォゥ・・・?」

「この者たちは傷ついた私を優しく抱きとめ、介抱してくれ申した」
「そのとき、この胸の中に生まれ出でた」
「この『気持ち」』を『心』を!」
「私は忘れることが出来ぬ!」

「故に、私は決めたのじゃ」
「私を救ってくれた、『心』を与えてくれた」
「このお方たちと共に在りたいと!このお方に恩を返すと!」

やはり少女の正体は、あのケガをしていたあのローキーであり、彼女もまたアルマと呼ばれるモンスターが擬人化した一人だった。

「グルルッ!ヴォッ!」
どうやら、それでも野生のローキーたちは怒っているようだ。

「私を捕らえ、傷つけたのは人」
「しかし、私を救ってくれたのも、また人だったのじゃ」
「そんな、人の優しさに触れてるうちに私も人が好きになってしまっての」
「心配して駆けつけてくれて、嬉しかったのじゃ」
「じゃが、もうしばらく人と共に居たいという、私のワガママを聞いてくれんかの・・・?」

巨大な狼は、しばらく考え少し経つと
「・・・ウォォ~~~ン・・・」っという遠吠えをして周りにいたローキーたちを引き連れ遠くへと立ち去っていった。
どうやら解ってくれたようだ。

「・・・さらばじゃ」
「我が同胞よ・・・しばしの別れなのじゃ」
「ぐす・・・アオオ~~~ン!」

ローキーの遠吠えに応えるように名残惜しむような。
そして、元気付けるような遠吠えがいつまでも、いつまでも平原の空に響き渡っていた。
しばらくして気を落ち着かせて改めて紹介をするローキー。

「しかし、私もびっくりしてるのじゃ!」
「まさか人の姿になるとはの」

「人の姿になるのは初めてなの?」

「うむ、助けようと無我夢中で走っていたらいつの間にかぶわーーーっとなっての!」
「前から、私たちの群れの縄張り近くに人の姿を見せるたび興味を持っておったのじゃ」
「じゃが、近づこうとするたび群れの者に危険じゃからと止められていての」
「それがある時、人里の方からとても気になる匂いを見つけての!」
「どうしても気になって この街の近くまで来てしまったのじゃ」

それは、バウと同じように『絆の樹の種』今は苗だがそれにローキー・アルマは引き連れられたのだろう。
ウヅキと相談し今後どうするかを。
もちろんのこと、やはりここはアミス先生の学校へ連れて行こうと結論が出た。
行くあてもない浅葱もローキーと共についていくことになった。






4月H

アミス先生の学校へ行くと校庭で遊んでいる3人のアルマたちにアミス先生もいた。
これまでのことを説明すると・・・

「ぼくとおなじです!うれしいにおいです!わうわう!」

「『絆の樹』の種の声が聞こえたんだね!」

「そのようじゃの!」
「あれはそこの種から出ていたもの!だったのじゃな!」
どうやら早くも仲良くなれたようだ。

「・・・じゃが、ここに辿りつく前に妙な2人組みにつきまとわられての」
「その2人組みの仕掛けた罠にかかり、気がついたら窮屈な箱の中に囚われておったのじゃ」
「声を上げて助けを待ったのじゃが、箱が窮屈で、我慢できなくての」
「隙を見て逃げ出したのじゃが・・・」
「それからじゃ、どうにも体が自由に動かなかったのじゃ」
「その時に、3人に出会っての」
「人に怯えていた私は差し伸べてくれた救いの手に牙を立ててしまったのじゃ」
「すまなかったの」

「よろしゅうございますよ」

「そして、レーヴェリス様は人を恐れ、牙をむいた」
「私に傷つけられながらも私を優しく包んでくれたのじゃ」

「御主たちには、いくら感謝しても足りぬのじゃ」
「私はもっともっと、皆に恩返しがしたい!」
「その為にも、もっと人のことを知りたいのじゃ!」
「アミス先生、それに皆!私も生徒にして欲しいのじゃー!」

「もちろん、大歓迎よ!よろしくね、ローキーちゃん!」

「実はアミス先生、私もここの生徒にしてくれませんか?」
「先ほど、姉妹たちと出会いまして、まさか、こんなところで会ったのも縁」
やはり、シャノワールたちが探していた不思議な姉妹たちの一人だったのか。

「ええ、もちろんいいわよ。よろしくね、浅葱ちゃん」

「よろしくなのじゃ、ウヅキ、あさにゃー!」

「どうかよろしくお願い致します・・・って、えっ、あさにゃー?」

「えへへ、よろしく!なんだか照れくさいね」
「よーし、じゃあ今日からキミは『のじゃー』だよっ!よろしくねっ『のじゃー』!」

「まぁ、やっぱり・・・ウヅキさんが皆様を呼ぶ名でおぼえていらっしゃるのですね・・・」

「ふふふ、ウヅキは面白い呼び名を考えるのが上手いのじゃー♪」
仇名で呼び合う3人は楽しく笑いあう。

「あっ、見て!絆の樹の芽が出てるよっ!」
シャボタンが指をさすのは『絆の樹の種』を植えた苗どころだった。
小さく緑色の芽がぽっと土から顔を出していた。

「のじゃちゃんとお友達になって芽がでたです?」

「うんっ!樹も喜んでる!」

「たくさん友達が出来たら、樹はもっともっと大きくなるのね?」

「絆の樹に導かれて新しい仲間と出会っていく・・・」
「次は私も、皆と共に新たな友を迎えるのじゃ!」

かくして、仲間が増えていくごとに樹も成長していくこともわかり、新たな仲間たちであるウヅキ、浅葱、ローキー・アルマを入れたこの学校も賑やかになってきた。
出会いの数だけ友となる数も多くなり、それはまた新たな物語へと繋がっていく。

だが・・・

「・・・そういえば、ローキーちゃんはダークフェザーちゃんたちが探してた子とは違う子なのよね・・?」
アミス先生はダークフェザーたちに訊いた。

「ええ、そうよ」
「もっとこう、なんというか・・・」

「においが全然ちがう子です!」

「他にも近くに仲間がおるのかや?」

「早く会えたらいいねぇ」

「・・・」
それと同時に不思議な因果を感じ始める『絆の樹』
それは偶然なのか、必然なのか。
このとき、それを知る者はまだ一人もいなかった。


おしまい。

4月J





レーヴェリスから読者へ-

 第4章お読みいただきありがとうございました。
だいぶ、遅延しておりますが4話目も無事、書きあがりました。
次なるアルマももう出ておりますが急ピッチで5話目もこの勢いで書き上げて行きたいと思います。
意外と人気が高かったローキー・アルマこと「のじゃー」
この話でも色々カットさせてもらったところがあります。
ローキーを助けて一旦アミスの学校へ戻る、そして、また東平原へという部分だけカットしました。
なぜなら、ローキーを抱えたままアップタウンへ入れるのだろうか?
という疑問を持ちまして、普通ならモンスターを連れて街へ入るのは厳しいのだろうと思い
このようにさせてもらいました。
それと、今回はネコマタルートと守護魔ルートを同時にやらせてもらいました。
その代わり、私(レーヴェリス)の出番は減る一方です(笑)
それでは、次の5話目でまたお会いしましょう。


原作:エミル・クロニクル・オンライン『アルマたちと絆の樹』
著者:レーヴェリス

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