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アルマたちと絆の樹(小説)

アルマたちと絆の樹 第5章~

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第5章 感謝と旅立ち

5月E




 桜が咲く季節が終わりやがて梅雨へと入る時期になった5月。
4人のアルマたちと守護魔、不思議な猫の姉妹たちが通うアミス先生の学校へと私レーヴェリスは向かっていた。
しかし、眠い・・・。
欠伸が何度も何度もかきながらも街を歩いていた。
『春眠暁を覚えず』とは言うが・・・
頭もボッーとしてるし、半分寝ぼけながら歩いているようなものだった。
そんな時だった。
「・・・ね・・・ちょ・・・いて・・・」

どこからか声が聞こえる。
耳鳴りだろうか?
そう思いながら歩く。
「ちょっと・・・まで・・・聞こえないの!!?」
いや、耳鳴りではなかった。
うしろを振り向くと一人の少女が大声で叫んでいた。
水色のツインテールヘアの髪留めは花の蕾に水色のワンピース、背中には綺麗で薄い翅をした少女だった。
まるで妖精のような姿をした少女にどこか見覚えがあるようだったが私は思い出せなかった。

「やっと、気づいたのねっ!遅い!おそーーーっい!」
「早く皆待っているわよっ!」
そう言って私の手を握って無理やり引っ張って行く。
何が何だかわからないまま、その子に連れられていく私。
ついた場所はアミス先生の学校だった。

「あんたがボケっと歩いているから」
「おかげでここに連れてくるのが遅くなっちゃたわ!」

「これでもレーヴェリスちゃんはとっても頼りになる冒険者さんなのよ」

そこにはもうアミス先生やアルマたちがいた。
皆が「おはよー」という中、私以外はリュックやらカバンやら大きな荷物を背負っていた。
これは一体何事なのか・・・?

「あんた忘れたの?これから皆で遠足に行くことをっ!」
・・・?
初耳だ、さらに言うなら君が誰なのかもわからない。
「まだ寝ぼけているの?私はサツキよ!5月の守護魔サツキ!」
言われるとだんだん思い出してきた。
そう、この子の名前はサツキ。
去年のことである、彼女は夢の中のダンプティーアイランドという場所で極悪の海賊たちに捕らわれ壷の中に押し込められたのを私が助けてあげたのであった。

「ね、ねぇサツキちゃん、もしかして・・・レーヴェリスちゃんに連絡回すのを忘れていたんじゃ・・・」
アミス先生の一言で「あ・・・」と気づくサツキ。

ほどよい沈黙が流れる中、サツキは何事もなかったようにアルマたちを呼ぶ。

(どうやら本当に忘れていたようだ)

「これからみんなで南アクロニア平原へ遠足に行くところなの」
「レーヴェリスちゃんが一緒に来てくれたら先生、うれしいな」

「南アクロニア平原ならモンスターとかはいないと思うけど」
「冒険者のあなたが護衛してくれれば、安心よね、たぶん」
「ま、わたしの足を引っ張らないでくれれば私は別にいいわ」

「みんな、遠足の準備ができたみたいね」
ダークフェザー、バウ、シャボタン、ローキーはそれぞれお弁当やら遊具を入れたリュックを持って並んでいた。

「えっ、これで全員なの?ムツキたちは?」
サツキは4人だけで他にいないのに驚く。

「ムツキとシャノワールは大事なクエストの途中だって言ってたわ」
「遠くまでお出かけするから、今日は帰れないかも、って」

「キサラギさんは、みるくちゃんに『すいーつ』を着せるっていっておでかけしたです」
「あと、『ごすろり』食べ放題にもいくっていってたです!」
「・・・わう?逆だったかもしれないです」
きょとんっとするバウ。

「ヤヨイさんとアカリさんは『バナナはおやつに入るか?』ってことで言い争いになってスポーツ勝負するんだって!」
「ずーっとラリーが続いてて とうぶん終わらなさそうなの」
「やっぱり、制限時間のある勝負をした方がよかったじゃないかなぁ?」
「でも、2人とも真剣だったし、本当は楽しんでいるのかも!」
シャボタンは嬉しそうに言う。

「あたしは学校を守るのが使命だから、今回は留守番するねっ!」

「私はここに留まってお掃除やお洗濯や備品の整理をいたします」
「先生、皆様、どうぞ楽しんできてくださいまし」
学校から唯一出て来たウヅキと浅葱は残ることを申し出た。


「みんなのこと、しかっり守ってね! さっちん!」

「・・・ウヅキ、あなたにはもう、何百回も言ったと思うけど、どうやら覚えてないみたいだから」
「もう1度言うわ、よく聞いて」
「さっちん言うな!」

「なぜじゃ?可愛らしくて、よい名前だと思うがの」

「ほら、のじゃーもカワイイって!」
「照れなくたっていいのに~!」

「照れてないっ!!」
逃げるウヅキを追い掛け回すサツキ。

「まあまあ、落ち着いて」
「ケンカはダメよ?」
「ウヅキちゃんと浅葱ちゃんが残ってくれるなら安心ね」
「お留守番、よろしくお願いするわ」

「いい?目的地は南アクロニア平原よ」
「・・・迷子にならないでよね?」
「それじゃ出発よ!」
サツキの号令で皆が「おー!」と叫ぶ。






というわけで南アクロニア平原へとやってきたアルマたちとアミス先生、サツキに私。
南アクロニア平原の気候は他の東西北とは違い少し暑かった。
吹き抜ける風も熱を運び、5月だというのに真夏のような暑さだった。
ここの街道を通る人は大抵は南国アイアンサウスからやってくる武器商人に鍛冶師といった職人が通る。

こんな暑い場所でもアルマたちは楽しそうに走りまわり遊んでいた。

「みんな、楽しそうに野原を走りまわってるわね」
「ふふっ、来てよかった」
「あなたも、小さい子たちの面倒を見てあげてね」
「・・・あら、ダークフェザーが何かを見つけたのかしら?」
たしかに何かを見つめているダークフェザー。
気になったサツキは様子を見るため向かった。

「みんなー あんまり遠くに行っちゃだめよ~」
アミス先生が遠くで叫び声もするように遠くにいかないようにアルマたちに言いに私も向かった。

「あそこに果物がなってる木があるわ」
「あれは何?」
ダークフェザーが指をさす、その木は少し黒い実をつけた木だった。

「あれはプルーンっていうの」
「実が柔らかいからちゃんと知識を持った人じゃないと潰れちゃってうまく採れないのよ」

「プルーンって、おいしいの?」
「それとも、毒消しの実みたいな味?」

「熟した実は甘酸っぱくておいしいのよ」
「後で食べさせてあげるわね」

「ありがとう、サツキ」
「楽しみね、ウィリー・ドゥ?」
「そういえば、バウがそろそろお腹を空かせてるんじゃないかしら?」
ダークフェザーが近くにいるバウを見ながら言う。
次はバウのもとへと駆け寄る。


「くんくん・・・この草、ほかの草とちがうニオイがするです?」
バウがニオイをかいでいたのは少し葉の先がギザギザした草だった。

「ああ、それはギコギコ草ね」
「蒸留水と一緒に『薬品合成』すると、スタミナポーションになるわ」

「すごいです!」
「サツキさんもお花のこと、いっぱいしってるです?」

「ええ、もちろんよ」
「わたしは花や植物の守護魔だもの」

「わうわう!シャボちゃんと一緒です!」
するとぐぅ~っとバウのお腹が鳴る音がした。

「ぼくは、ちょっとおなかすいたです!」
持っていたお弁当をもう食べ始めていたバウ。
「そういえば、シャボちゃん、どこですか?」

シャボタンは、さらに奥のほうでお花を眺めていた。

「あっ、見てみて!」
「お花がとっても綺麗なの!」

「シャボタン、花はなんて言ってるの?」

「今日はいい天気で気持ちいいって!」

「ふふっ、それだけじゃないわ」
「ほら、耳をすまして・・・花と葉だけじゃなくて、茎も根も意識してみて」

「あれ、あれっ・・・・!?」
「聞こえる・・・でも、なんて言ってるんだろう?」

「あせらなくてもいいのよ」
「あなたがまだ知らない言葉も、1つずつ教えてあげるから!」

「うわぁ、ありがとう、サツキさん!」
私には何が聞こえるのかわからないが不思議な音が聞こえたのは確かだった。
それはシャボタンやサツキも気づいた。

「・・・ッゴ・・・」
「・・・ッガ・・・」

「・・・やめ・・・」
「・・・ダメ・・・」
これは花や草が何かを言っているのではなく、誰かの鳴き声に何かを叩く音だ。


「今、どこかで誰かが泣いていたような・・・?」
「あっちの方かなぁ?」
「あっ、ローキーちゃんがいる!」
「何か知ってるかも!」
シャボタンが指をさす、さらに奥のほうにはローキーが立っていた。


「レーヴェリス様」
「待っておったのじゃ」
「ささ、ここに座って共に木々の歌を聞くのじゃ♪」

「ローキー!この辺で、誰か泣いているのを見なかった?」

「誰かが泣いておるとな?」
「いや、私は知らぬ」
「・・・それはともかくじゃ」
「のう、さっちん、何やら激しく、それでいて悲しげな太鼓と歌を奏でている」
「あの木は何という木なのじゃ?」

「ゴッ!」
「ガッ!!」
ローキーがさらに奥にある木を指さす。
あきらかに誰かが木を叩いていた。

「ええ、知ってるわ」
「あの木はね・・・」
「って、そんな木はないわ!」
「誰かが木を傷つけてるのねっ!?」
「急いで止めにいくわよっ!」
サツキは急いで向かったが急にローキーの元へと戻って来た。

「ローキー、それと1つだけ言っておくわ・・・」
「さっちんって呼ばないでよねっ!もうっ!」
「ほら、もたもたしないで行くわよっ!」
そして、再び木を叩くほうへと向かっていった。

「ふふ、さっちんは照れ屋さんなのじゃな♪」
私も何があったのか見に行った。

「ゴッ!」
「ガッ!!」

「やめなよ~ダメだよ~!」
一人の少女が釘を刺したバットを勢いよく振り回し木を激しく叩いていた。
それをオドオドとしながら必死にやめるように訴える少年がいた。

「ちょっと!なんでそんなことするのよ!」
サツキは、その少女に激しく怒鳴る。

やっと木を叩くのを止めた少女が振り向いた。
虎柄のパーカーに靴、黒いニーソックスにレイヤースカート、虎の尻尾に頭には耳をつけ右サイドだけ髪を赤いリボンで留めたセミロングの黒髪をした少女がギロッと睨む。

5月C



「うるさいですねぇ・・・」
「あんたらには関係ねーですから」
「・・・・それとも、この木、あんたのです?」
あまりにも威圧的に睨む少女に流石のサツキも少しビクッとする。

「わ、わたしの、ってわけじゃないけど・・・」

「だったら放っておいてください」
また叩こうとする少女の腕をサツキが掴んでとめようとした。

「あなたの木でもないでしょ?!」
「植物の守護魔として、むやみに木を傷つけるのはわたしが許さないから!」

「そうだよ~、やめなよ~!」
そう言ってるが一向に体を張って止めようとせず口だけの杏色の猫耳にオレンジ色のショートヘアの少年が言う。

「葉っぱ食ってる虫とか、穴掘って住んでる鳥とか、いっぱいいるんですけど」
「あたしを許さねーんでしたら、そいつらも許さねーんです?」
蟻やら飛んでいる鳥たちに指をさしながらサツキを睨みつける。

「そ、それは・・・生きるために必要ならある程度は仕方ないけど、あなたは木を食べないでしょ?」

「あたしはこの木で、『家』を作ろーとしてるんです」
「鳥と同じで、生きるためですけどそれでもダメなんです?」

「どうしても木が必要だとしても、そんなに乱暴に叩き折ろうだなんて、感謝のこころが足りないわ!」

「感謝っつったって、植物には目には耳もねーですし」
「植物は、土とか水とか太陽とかにごめんなさい、ありがとう、感謝してます、とか一々言ってるんです?」

「そ、それは・・・その・・・」
サツキも流石に反論出来なくなってきた。

「そうだよ~、ちゃんと感謝した方がいいよ!」
フォローをする怯えた少年。

「さっきから、ピーピーやかましーんですよ!!」
すごい勢いで脅す乱暴な少女の叫び声で怯えた少年は尻込みしてしまう。

「な、なんだよう・・・・」

「なにやら楽しそうじゃの」
「私もまぜて欲しいのじゃ!」

「わうわう!ぼくもまぜて欲しいです!」
先ほどの叫び声でダークフェザー、ローキー、バウ、シャボタン、アミス先生が気づいてやって来た。


「あれ?あの子って・・・・・・?」
ダークフェザーとシャボタンは何かに気づいた。

「ぷるぷるっ!」

「サツキさんのお友達なの?」
シャボタンは乱暴な少女を見つめる。

「違うわっ!こんな、木を痛めつける乱暴ものなんか!」

「別にこの木じゃなきゃダメってわけじゃねーですし、別のとこ行きますから」
「・・・あたしは、あんたらみたいに群れるのは好きじゃねーんです」
「一人でも生きていけるんですから!」

「一人で生きていく・・・?ねぇ、あなたお父さんとお母さんは?」
アミス先生は乱暴な少女に質問をした。

「・・・っ!」
「あんたにはカンケーねーですから!」
それが感に触れたのかアミス先生に向かって怒鳴る乱暴な少女。

「あ・・・気を悪くしたなら、ごめんなさい」

「のうお主、何か事情があるなら聞かせてはくれぬか?」
「もしかしたら力になれるかも知れぬからの」
「特にこの方はどんな難題もたちどころに・・・」
私を紹介しようとするローキーに乱暴な少女は・・・。

「よけーなお世話ですから!あたしの気持ちが、ババ臭いあんたなんかにわかるはずねーんですよっ!」
今度はローキーに怒鳴りつける。

何かがプチッと切れる音がした。
乱暴な少女はローキーに「あぁん?」と睨む。
顔は笑顔のままのローキーだったが乱暴な少女に近づき・・・

ボコッメキッと嫌な音を立てた。
思わず皆は目を閉じた。
「・・・・」
「・・・」
「・・」

「・・・みんな、もう目を開けていいわよ」
アミス先生は止めることも出来ずに冷や汗をしながら皆に目を開けるように言う。
何が起きたのかわからないが乱暴な少女は、ばったりと倒れていた。
そばに立っていたローキーは、笑顔のまま立ち尽くす。

5月A


「・・・すみません、ごめんなさい」
「もう二度と、ババ臭いとか言いません」
「ごめんなさい、すみません」
乱暴な少女はそれを2度、3度呟いて起き上がり怯えながら土下座していた。

「うむ、わかればよいのじゃ♪」
「物分りの良い子は好きなのじゃ♪」
やはり笑顔のままローキーは乱暴な少女の頭を撫でているが撫でている手はかなりの握力だったのか
乱暴な少女の頭がメキメキなってる・・・。

かなり痛そうだった。

「・・・ローキーに『ババ臭い』は禁句ね・・・」
アミス先生は呆然として呟いた。







「さあ、みんなお腹すいたでしょ?」
「お弁当にしましょう!」
「良かったら、あなたたちもどうぞ」
「たくさん作ってきたから!」
気を取り直してお弁当を取り出すアミス先生は怯えていた少年に乱暴な少女も一緒に食べるように誘った。

「ありがとう、おねえちゃん!ボク、おなかぺこぺこだったんだ~!」

「あ、あたしは別に・・・・(ぐぅ~~~)」
「・・・まぁ、せっかくなんでいただきますけど」
お腹が鳴いていた乱暴な少女は渋々食べ始めた。

(ぱく・・)
(ぱくぱくぱく!)
バウに負けないぐらい勢いよく食べる乱暴な少女。

「・・・その様子では、ずっと何も食べていなかったようじゃな?」

(ごっくん)
「家出してから今まで、ほとんど何も・・・」

「ふ~ん?」
「一人でも生きていけるなんて言ったくせに、なっさけないわねー!」
サツキはせせら笑いながら言う。

(ぷいっ)
乱暴な少女は頬を赤くしながらサツキを見ないようにしながら食べる。

「ほれ、私の分もわけてあげるのじゃ」
そう言ってローキーは自分の弁当の中身やオニギリを乱暴な少女に渡した。

「・・・すみません、いただきます」
ローキー相手には素直になったようだ。

お弁当を食べ終えアミス先生が乱暴な少女にどうして家出をしたかを聞き出す。
「もし良かったら、家出のわけを教えてくれない?」
「えぇと・・・」

「あたしのことは『家出娘』とか、好きなように呼んでくれればいいです」

「『家出娘』?可愛くない名前じゃの。ふむ・・・」

「・・・母ちゃんが、あーしろ、こーしろ、あれはダメこれはダメって」
「いつまでもあたしを子供扱いするんで・・・」
「・・・それで、ケンカして、飛び出したんです」
「母ちゃんなんかいなくたって、自分のことくらい自分で決められるってんですよ!」
地面をドンッと叩き怒りを露にする。

「そんなことで、家族と別れるなんて絶対ダメだよ!」
怯えた少年は、いきなり叫びだす。

「絶対ダメ?うちの家族のことに口出しして欲しくないんですけど!」
その反応に少年を睨む。

「ボ・・・ボクは、なりたくないのにいきなり家族と離れ離れになっちゃたんだよ!」
「それで、家族を探して旅してて・・・」
「きみが木をいじめてて・・・」
「家族が一緒にいられるだけでも幸せなことなにに、きみはゼータクだよっ!」

「一緒にいられるだけで・・・」
「・・・」
「・・・ヘタレのくせに言うじゃねーですか」
流石に言い返すことも出来ずにいた。
むしろ関心したくらいだった。

「あなたヘタレっていう名前なの?」
ダークフェザーは変な名前~って付けたしながら怯えた少年を見ていた。

「違うよ!ボクは、あん・・・」
「あ、えぇと(ホントの名前は言わない方が・・・)」
「ボクの名前は・・・」
少し口ごもる少年。

「自分の名前がわからないの?」
「そんなの、おかしいわ」
「あなた、バカなの?」

「バカじゃないやい!えぇと、名前は・・・!」
それでも何か考えながら言おうとするが・・・いえなかった。

「・・・母ちゃんたちと一緒に食べたご飯、おいしかったな・・・」
「時々、兄弟で取り合いになったりしたけど、楽しかった」
「・・・母ちゃんに会いたい」
「仲直り、したいな・・・」
そんな時、家出少女がボソッと呟いた。

「そうねぇ・・・」
「じゃあ、お母さんにカーネーションをプレゼントしたらどうかしら?」
「ちょうど、母の日の季節だし」

「カーネーション?」
アミス先生の提案に耳を傾ける家出少女。

「母の日のプレゼントよ、常識でしょ?」
サツキはフツーと言う。

「おくりものをするです!こころが伝わるです!」

「・・・母の日のプレゼント」
「そんなのがあるんですか」

「え?あなた、本当に知らないの?どこに住んでいたのよ?」

「・・・ま、遠いところですよ」
「カーネーションってやつも住んでねーようなとこです」

「えっ?カーネーションはお花なんだよ?」
シャボタンはカーネーションの説明をする。

「花・・・ですか」
「母ちゃん、そういうの喜ばねーんじゃねーですかねぇ・・・」

「きっと、喜ぶと思うわお母さんもあなたと仲直りしたいって思ってるはずだもの」

「そう・・・ですかね?・・・そうだといいな・・・」
少し微妙そうな顔をする家出少女だったがプレゼントしてみようかと決心がつく。

「でも、この辺だとあんまり見かけないのよね」
「カーネーション」

「・・・そうだわ!『花の種』いっぱい集めれば、1つくらいカーネーションの種があるはず!」
サツキはいきなり思いつき叫びだす。

「でも、今から種をまいて育てるのはすごく時間がかかるんじゃないかなぁ?」

「大丈夫よ、シャボタン」
「今の季節なら、あいつの力を借りられるから」

「あいつって?」

「西アクロニア平原の、ファームの妖精ところにいる『妖精王』よ」

「あいつの力があれば、種をまいてすぐに花を咲かせられるわ!」

「うわぁ、すご~い!」

「ねぇ、母の日の季節だから、みんながお母さんにカーネーションを贈ってるんだよね?」
「街の人に聞けば、どこで手にはいるのかわかるんじゃないの?」
少年は街の人たちに聞くように促す。

「・・・あ」
「あなた、ヘタレのくせにいいとこに気がつくじゃないの!」

「だから、ボクの名前は・・・!」

「名前は?(じぃ~っ)」
皆が見つめる。

「えぇと・・・ホントの名前は・・・(ええと、別の名前・・・急に思いつかないよう!)」

「ヘ・・・・・・ヘタレー、だよ!」

「ふむ?家出娘は、名前を知っておったのか?」
ローキーは冷静に言う。

「いや、さっき初めて会ったばかりですけど」
「・・・自分でも、驚いてます」

「お主は、人の本質を見抜く素晴らしい目を持っておるのじゃな!」
結局、少年は自分でヘタレと名乗ってしまったことに落ち込んでいた。

「ボ、ボクの名前のことはいいから、早く街の人にカーネーションの話を聞きに行こうよ!」

「それじゃ皆でカーネーションを手に入れましょう!」

「おー!!」

サツキの言う『妖精王』に会いに行くか。
もしくはヘタレーの言う街の人にどこで手にはいるかを聞きだすか。
そのどちらかの方法となった。

さて・・・どちらを選ぶか。










5月H


ここは西アクロニア平原。
今まで東西南北と四方のアクロニア平原へ来たが、この平原が4つの中でも殺風景で人もほとんど通らない。
炭鉱の街モーグシティへ続くが今では廃れていき通る人もいない。
風が強く、草木は生い茂るそんな平原の北側に私たちは来ていた。

結局どちらを選んだかというと
サツキが提案した『妖精王』に会いにいくことになったからだ。

「妖精王!」
「ちょっといい?」
サツキは妖精たちの『王』だというのに、礼儀も無く質問をする。

「もちろんだとも結婚式は次の満月の夜でいいかな?」
爽やかな笑顔に口ヒゲと滑らかな緑のロングヘアをした50代のおじさんが渋い声で言う。

「寝言は寝てから言ってくれない?」
サツキはイラッとしながら言う。

「怒ったかも、実にチャーミングだよ」
「そっちの子たちは今カノに今カレかな?たくさん恋をするのはいいことだ」
家出少女とヘタレーを見ながら言う。

「今カノ?」

「今カレ?」
家出少女とヘタレーは互いに顔を見せ合いながら言う。

「今も昔でもないし、彼氏でも彼女でもないわよ!もう!適当なこといわないでくれるかしら」
サツキを無視して紹介を始める妖精王。

「はじめまして」
「私は妖精王、その名もエルシルマリスシルルミイルアルファスティアスルロイエレインリンデン・・・」
・・・がそれすらもサツキは無視して本題に切り出す。

「カーネーションの種を今すぐ花にしたいの」
「力を貸してくれる?」

「アルタランサランサラーサ・・・」
それでも名前を名乗り続ける妖精王。
っというか名前が長い・・・。

「名乗りはもういいから!」
「力を貸してくれるの?くれないの?」

「お安い御用だよ」
「サツキ、君が望むならアクロニア平原を真っ赤なバラの花で埋め尽くしてしまおうとも」
「ただし、この西アクロニア平原はそっちのナイスバデーでナウでヤングなレディに先約済みなんだ」
妖精王はその隣にいる妖精。
ファームの妖精を見る。

「妖精王さまっだら」
「まーたそったらこと言って!オラ、照れちまうだよ~♪」
どこらへんがナイスバデーでナウでヤングなレディなのかは人間である私にはわからないが・・・。

「わたしたちが種を集めてくるから、カーネーションの種だけを花にしてくれればいいの!」
「さあ、種を取ってくるわよ!」

「ん?ああ、君がサツキの想い人なんだね」
「サツキをたくさん愛してあげてくれ」
今度は私を見ながら言う。

「なっ、なっ何言ってるのよっ!!」
サツキは顔を赤くしながら、ついに妖精王の胸ぐらを掴みグラグラと揺らす。
妖精王は「アハハハハ」と笑いながら爽やかにいた。

「こいつの言うことなんか聞き流していいから『花の種』を3つ採ってくるわよ!」

―――――――数分後・・・
なんとか花の種を採取に成功して妖精王のもとへと戻ってきたが妖精王は優雅にファームの妖精とお茶を飲んでいた。
サツキは躊躇なく割り込み早くカーネーションにするよう叫ぶ。

「ありがとう、私のために・・・大丈夫だ、わかってる」
「本当は種じゃなくて、君自身が咲き乱れたいんだね」
「さあ、私に身を任せてここを愛の花園に・・・」

「あ~もう、いい加減イライラしてきたわ」
次は本気で殴りかかりそうな勢いなサツキ。

「妬いているのかい、サツキ?」
「フフッ、うれしいね」

「さあ、君達もおいで」
「みんなまとめて私が愛してあげよう」
両手を大きく開いて誘い出す妖精王に家出少女とヘタレーは・・・

「・・・殴っていいです?」
さっき木を叩いていた釘バットを取り出し妖精王を睨む。

「ボ、ボクは男の子だよっ!」

「妖精王さまはホント、ナウいシティーボーイだな!」
「オラ、メロメロになっちまうだよ~♪」

妖精王はまた「アハハハハハ」と爽やかに笑う。

「・・・妖精王」
「これ以上ふざけるのなら、奥さんに言いつけるわよっ!」

「それは困る」
「彼女たちが悲しみのあまりしおれてしまったら可愛そうだからね」
ふぅっと一息ついて妖精王はファームの妖精に言う。

「私の可愛いシティーガール」
「このファームを使わせてくれるかな?」

「ひゃぁぁぁ~~~」
「妖精王さまが使ってくれればオラのファームも箔がつくだよ~!」
「村の連中に自慢できるだ!」

「ありがとう、愛おしい人」

「さあ、君達」
「集めた種をファームにまこう」
「ただし、1つ大事なことがある・・・特にそっちの元気なお嬢さんはよく聞くようにね」

「・・・あたしに変なことをさせようっていうなら、ただじゃおかねーですよ?」
家出少女はゴツン!と持っていた釘バットを地面に叩きながら妖精王を脅す。
妖精王も「・・うっ」と言い冷や汗をかきながらコホンっと咳込む。

「種をまく時に、母上への素直な想いを込める事」
「カーネーションを綺麗に咲かせるためには、それが一番重要なんだよ」

「母ちゃんへの素直な想い・・・一応、やってみますけど・・・」

「守護魔のわたしには母親なんかいないんだけど?」

「我が愛しのサツキは豊穣を願って種をまく人々に祈りの心から生まれた君には母上がいないかもしれないが
君を愛し、守り育ててくれた大切な人たちがいるだろう?」

「・・・・わかったわ、母っていうより・・・兄や姉みたいなものだけど」

「じゃぁボクはおねえちゃん達のことを考えて種をまくよ」

「都会に出るオラのこと、ビンタしたけどカバンにおにぎりを入れてくれたおっかぁ・・・元気でやっでっかなぁ・・・?」

「母上・・・あなたは今もこの胸に・・・」

母のことを思いながらみんなで協力してファームに種をまいた。

「サツキ」
「君の祝福で、種を芽吹かせておくれ」

「任せて」
「さあ、目覚めなさい・・・!」
サツキは何か呪文のようなものを唱え、持っていたブルーミングブルームというホウキをサッと振り回した。

「では、仕上げは私が・・・」
「愛しきカーネーションの君達」
「私の息吹で、少しだけ早くオトナにしてあげよう」
妖精王が吹く風でみるみる種を植えた場所からニョキニョキと蔓が出てきて赤い花があっという間に咲いた。

「うっひょ~~妖精王さまはホントにトレンディ~だぁ~!」

「カーネーションの種、思ったよりたくさん混ざってたのね!」

「さあ、このカーネーションの花束を持っていくといい」
「きっと、母上も喜んでくれるだろう」
カーネーションを積み上げて家出少女に渡す妖精王。

「そうだといいんですけど」
それを受け取る家出少女。

「サツキ、次は何の花を咲かせようか?」
「君のためならバラでもユリでもスズランでも・・・」
そう切り出す妖精王の言葉を無視するサツキ。

「南アクロニア平原で皆待ってるわ!急いで戻るわよ!」

家出少女はペコンと妖精王にお辞儀をして行った。






南アクロニア平原へと戻ってきたが、誰もいなかった。
どうやら皆はまだカーネーションを探しているようだ。
サツキは皆を呼びに行ってしまった。

「母ちゃんに渡すカーネーションも手にはいったんで返ることにします」
「ローキーさんとか、他のやつらには、あんたとヘタレーからよろしく言っといて欲しいです」
「・・・みんなの顔を見たら、母ちゃんとこに帰れなくなりそうですし」
「うまく言えねーですけど、本当に感謝、してます」
「マイマイ島は遠いし、あたしは本当は・・・だから、もう会うこともねーですね」
「短い間だったけど、楽しかった、です」
「・・・それじゃ・・・」
お辞儀をして去っていく家出少女。

「ボ、ボクも楽しかったよ~っ!」
手を振るヘタレー。

数分後・・・。
サツキとアミス先生にアルマたちが戻って来た。
「あれっ、家出娘は?ここにいなかった?」
「・・・もう、お母さんのところに帰っちゃったの?」

「みんなの顔を見たら、お別れするのが辛くなっちゃう、って・・・」
「本当に感謝してる、って言ってた」

「・・・そっか」
「けっこう可愛いとこ、あるじゃない・・・」

「くぅ~ん・・・もっとあそびたかったです!」

「・・・結局、あの子の名前、わかんなかったね」
「マイマイ島は遠いからもう会えない、って」

「えっ?マイマイ島?あの子、マイマイの子なの?」
「・・・おかしいわねぇ」
アミス先生は不思議そうな顔をする。

「おかしいって、何が?」

「マイマイは、遺跡の調査部隊以外には少数民族が暮らすような場所なの」
「あの子みたいに都会的な格好の子は住んでないはずなんだけど・・・」

「・・・アミス先生、マイマイって、そんなに遠くにあるの?」

「確かに遠いけど、行けないことはないわ」
「先生の故郷のトンカ島から飛空庭だって出てるのもの」

「アミス先生、私は家出娘がちゃんと母様と仲直りできたか、見届けたいのじゃ!」

「・・・そうねぇ」
「それじゃ、今日は遠足は行き先を変えましょう」
「先生の飛空庭でマイマイ島へ行きますよー!」

「おー!」

こうしてアミス先生の飛空庭で家出少女を追ってマイマイ島へと行くことになった。

5月B



「あれっ、もう帰ってきたの?早かったね!」
ウヅキが出迎えた、学校をずっと見張っていたようだ。

「行き先が変わったの」
「飛空庭で出発よ!」
サツキは飛空庭の舵を握る。

「まあ、大変!」
「洗濯物を取り込みませんと」
浅葱は学校の裏側に走り出した。

「あっ!藍おねえちゃん!?」
いきなりヘタレーは叫びだし浅葱の後を追う。

「!!」

「あさにゃーはヘタレーのお姉さんなのかの?」

「あさにゃー?」

「ヘタレー?」
ヘタレーと浅葱は何が何だかわからなかった。

「・・・皆様、少々失礼いたします」
「ヘタレー、こちらへ・・・」
浅葱は学校の隅へとヘタレーを誘いヒソヒソ話を始めた。

「・・・会いたかったよぉ・・・・」
「・・・よく、無事で・・・」
「・・・ねえさまと、・・・」
「・・・るみもいるの!?・・・」

「・・・あさぎ?・・・」
「・・・ヘタレー・・・・」
「・・・思いつかなくって・・・」
「・・・その名前で通すしか・・・」
「・・・そ、そんなぁ~!・・・」
ようやく戻って来た浅葱とヘタレー。
ヘタレーは何か落ち込んでいた。

「・・・失礼いたしました」
「離れ離れだった弟とこうして会えるなんて・・・今日は本当によき日でございます」

「アミス先生!ボクもここの生徒になっていい?」

「ええ、もちろんよ!」

「わーい、やったぁ!」
これでヘタレーもアミス先生の生徒となった。

「よろしくね!ヘタレーちゃん」

「う、うん・・・」
だけどやはり、その名前を聞くたび落ち込んでいた。

「新しい生徒も迎えたことだし、遠足の続きをしましょ」
「マイマイ島に出発よ!」
浅葱は洗濯物のことを思いだし学校の裏へウヅキも手伝いをすることになった。






トンカよりさらに東に位置する孤島。
ここはマイマイ島、巨大な謎のボール型の機械遺跡があり、アクロポリス調査団がその調査で駐在していた。
さらに機械遺跡の奥にはジャングルが広がっており獣や夜にはドラゴンなどが徘徊する危険な森だった。
その森の入り口に立ち尽くすアルマたちとサツキ、アミス先生に私。

「家出娘ちゃん、本当にここに住んでいるのかしら・・・?」

「くんくん・・・・いえでちゃんのニオイがするです!」
「・・・こわいにおいもするです!ぶるぶる・・・!」

「確かに危険な獣のニオイがするのう」
「みんな、用心するのじゃ」

「家出ちゃん、だいじょうぶかなあ?」
シャボタンは唾を呑む。

「・・・心配ね」

「い、今すごい唸り声が聞こえなかった・・・?」
森の奥から獣や鳥の鳴き声が聞こえてくる。

「レーヴェリス!」
「あなたが先頭に立ってくれる?」
「わ、わたしはヘタレーと違って怖くなんかないけどね!」

「ボ、ボクだって怖くなんかないぞ!」
「レーヴェリス、ボクがついているから先に進んでも大丈夫だよ!」
っというがサツキとヘタレーはうしろから私についていくだけだった。

森の中は緑が生い茂り、天候はどんより曇っていて雨が降りそうだった。
そんなジャングルの奥に見覚えのある虎柄のパーカーを着た少女が立っていた。
まぎれもなくあの子だ。

「!」
「あんた・・・どうしてここに?」
うしろから皆も続いてやってきた。

「みんなも・・・」

「あなたがちゃんとお母さんと仲直りできたか、確かめに来たのよ」

「・・・あたしを心配して、わざわざ来てくれたんですか・・・?」

「あっ、あたしは別に・・・!」
サツキは頬を赤くしてそっぽを向いた。

「さっちんは本当に照れ屋さんじゃの」
「ここに来るまで、もっと早く飛べないのかとしきりにせかしておったのじゃ」

「そ、それは・・・あなたがお母さんに叱られてベソをかいているとこを早く見たかっただけよ!」

「・・・ま、いいですけど」
「ちょうど、母ちゃんがここに来るとこで・・・・」

「あ、母ちゃん」

「マイマイ・・・母ちゃん・・・?・・・え、まさか・・・!?」
サツキの顔は真っ青になる。
そう、出て来たのは人間の母ではなく・・・この森に住む森の主とも言える巨体を持つバルルだった。

「ガオッ!!」
巨体に大きな牙を見せる。

「ぶるぶる・・・!おっきくて、こわいです・・・!」
バウは震えあがる。

「こ、怖くなんか・・・!なんか・・・」
「ボ、ボクたちはおいしくないぞっ!」
バウとヘタレーは足がガクガクしながらアミス先生のうしろへ隠れる。

5月D



「母ちゃん・・・!」
「母ちゃん、あたし・・・」

「えっ!?い、家出娘が・・・!?」

「あの子、やっぱり私たちと同じだったのね」

「うむ。同じニオイを感じておったのじゃ」
ダークフェザーとローキーはどうやら気づいていたようだ。
家出少女も自分たちと同じアルマだということに。

「ガフゥ・・・」
「ガオッ!?」

「母ちゃん・・・あたしが人の姿になっても怒らないの?」

「ガゥ、ガオォ・・・」
可愛らしい眼で娘を心配そうに見つめる母親バルル。

「おっきいけど、やさしいお顔です・・・こわくないです!」
バウはやっと前に出て来た。

「どんな話をしてるのかなぁ?」

「家出娘の母様は家出娘が人の姿になることで、ずいぶん悩んでおったそうじゃ」
「母様は人の姿にならぬように言いつけていたそうじゃが・・・」
「他のバルルとは違ってしまった娘は、人として人の世界で生きたほうが幸せかもしれない」
「そう考えるようになって突き放してしまった、っと・・・」
ローキーには母親バルルが何を言ってるかわかるらしい。

「母ちゃん・・・!」
「・・・母ちゃんが、あたしのことをそんなに考えてくれてたなんて」
「あたし、全然わかんなかった・・・」
「ううん、わかろうともしなかった」
自分のしたことを反省する家出少女。

「母ちゃん、あたし、あたし・・・!」
「・・・『でべそ』なんて言ってごめんなさい・・・!!」
みんな、その言葉で冷や汗をかいていた。

「ガオッ・・・」

「そうだ、これ」
「母ちゃんにあげる!・・・食べられないけれど人間はこの花を、母ちゃんにプレゼントするんだって」
家出少女は母親バルルに近づきカーネーションを頭に添える。
母親バルルの顔は少し照れくさそうだった。

「ガオオオ!」
「ガオッ!」
いきなり母親バルルは叫びだす。

「えっ・・・」
「母ちゃん、どうして・・・!?」

「ガウ、ガオオ」

「人の社会で行きなさい・・・そう言っておるな」

「ガオ、ガウガウ・・・」
「こう言っておる」
ローキーは翻訳を始める。
「『あんたはこの島しか知らないからワガママなんだ』」
「『人間の社会をもっと知ってちゃんと頭が良くなれば自分が本当は何をしたいか、島に帰ってくるべきか
そうじゃないか、わかったりも出来るようになるんじゃないかい?』」

「母ちゃん・・・!」
「・・・それって、今のあたしは頭が悪い、って意味に聞こえるんですけど?」
母親バルルを睨む家出少女。

「ガウ!」

「・・・わかりましたよ!」
「出てってやりますよ!」

「それで、外の世界のことをいっぱい知って母ちゃんがびっくりするくらい」
「立派になって・・・」
「ぐす・・・」
「母ちゃんが大泣きするほど親孝行してやりますよ!!」

家出少女は振り向き皆に涙目を見せながらも別れの挨拶をする。
「・・・みっともないとこ見せましたね」

「ううん、そんなことない・・・いいとこあるじゃない」

「立派な人になりたいのなら、お主もアミス先生の生徒になるといいのじゃ!」

「・・・気持ちはうれしいです」
「でも・・・さっき、見たでしょ?あたしは本当は人じゃないです」
「だから・・・」
少し口ごもる家出少女。

「私たち前からわかってたわ」

「・・・えっ?」

「ぼくたちもおんなじです!」

「えっ?ええっ?」

「あなたは一人じゃないよ!私たちもあなたと同じなの!」

「実際に、見せてあげるのじゃ!」
ダークフェザー、バウ、シャボタン、ローキーはモンスターに変身して家出少女に見せてあげた。

「わあぁっ!?」
「・・・・・・・・」
「せ、世界って広いんですね・・・」

「アミス先生は人ではない私たちにいろんなことを教えてくれる素敵な先生なのじゃ!」

「あなたがよかったら、私の生徒になってくれないかな?」

「・・・えと・・・・・よろしく、です」
家出少女は照れながらも快くみんなと一緒の学校へ通う生徒となった。

「・・・それじゃ、母ちゃん」
「・・・行ってきます!」

「ガウッ!」

「娘さんをお預かりします」
アミス先生は一言母親バルルにお辞儀をした。
母親バルルはアミス先生に向かって安心したように一度頷いた後、森の奥へと消えていった。




7(終節)

アミス先生の学校へと戻って来た私たちは改めて家出少女もといバルル・アルマと挨拶をかわした。
「・・・そーゆーわけなんで、これからよろしくです」
バルルはポケットからアメ玉を取り出し舐めながら言う。

「うむ、共にたくさん学ぶのじゃ♪」

「人の世界のことをたくさん勉強して、世界で一番立派な人になっていつか母ちゃんに見せ付けてやるんです」
「・・・あたしは、世界で一番の母ちゃんの娘なんだって」

「ぷるぷるっ」

「あっ!バルルちゃん『絆の樹』の声、聞こえた?」

「『絆の樹』です?」

「あそこに植えてある、あの芽のことよ」
ダークフェザーが指差す庭の中央にある小さな芽。

「うれしいニオイがするです!わうわう!」

「・・・あー、言われてみれば、何となくわかります」
「・・・ここが居心地がいいのは、あれのおかげなんですかね?」

「やっぱり、声が聞こえやすい子と、聞こえにくい子がいるんだね!」

「ぷるぷるっ」

「・・・ずっと気になってたんですけど」
「センセーの頭の上のそいつって・・・」
バルルはアミス先生の頭の上に乗っているプルルを見つめる。

「あぁ、この子は『ぷるぷる』あたしのお友達なの」

「あなたが生徒になってくれて喜んでるみたいね」

「ぷるぷるっ」

「そいつも、あたしやローキーさんたちみたいに人の姿になれるんです?」

「ぷるぷるも?」

「わうわう!?」

「本当!?」

「なんと!?」
みんな驚きがらぷるぷるを見る。

「ふふっこの子はあなたたちとは違って人の姿にはなれないかな」

「そうなの・・・残念ね、ぷるぷる」

「ぷるぷる・・・」

「でも心は通じてるの。私の大切な、お友達よ」

「・・・ぷるっ・・・」

「・・・そうだ!絆の樹の花が咲いたら、ぷるぷるも人の姿になれるかも!」

「あの樹には、そんな力があるんです?」

「植物の守護魔のわたしにも、この樹のことは詳しくはわからないけど・・・」
「あなたたちと同じ人と同じ心を持った子がここに集まることで絆の樹は大きく育つみたいなの」

「それで、絆の樹の花が咲いたら何か素敵なことが起こるって絆の樹が言ってたの!」

「・・・・・」
「・・・何か、むやみに木を傷つけたらよくないってことが何となくわかったような気がします」

「もう、やっとわかってくれたのね」

「・・・でも、あの時 木を殴ってなかったら」
「あんたらとも出会ってないんじゃねーですかね?」

「そんなことはないのじゃ」
「レーヴェリス様は困ってるものを見過ごさないお方じゃからの」
「必ず困ったるお主を助けたのじゃ」

「・・・そうですか」
「そうかも、しれないですね」

「あんたにいろいろ手伝ってもらったみたいに、あたしも困ってるやつを見かけたら」
「おせっかいを焼いてみます」
「・・・それも、悪くないかなって」

「いい心がけだね、ばるるん」
横から出て来たのはウヅキだ。
もう仇名を考えたらしい。

「はい?あたしは『バルル』ですけど?」

「ウヅキは皆に楽しい呼び名をつけてくれるのじゃ♪」
「私は『のじゃー』なのじゃ!」

「・・・まぁ、好きな風に呼んでくれていいですけど」
「あたしの方も、呼びやすいように呼びますし」

「ねぇ、ウヅキ!ボクにもカッコイイ呼び名をつけてよ~!」

「う~ん、そうだね・・・」
ポクポクと少しウヅキは空を見上げ考える。

「・・・・・『へたちん』ってどうかな?」

「え~~っ、かっこわるい!やっぱりボク、『ヘタレー』でいいよ!」
結局元のヘタレーのままになることになった。
みんなが笑いあう。

「それじゃボクはそろそろ他のおねちゃんたちを探してくるね」

「それじゃさっそくお節介を焼いてきますかね」
「お前一人じゃ危っかしいし」

「ボ、ボク一人でも大丈夫だよ!」

「はい?あたしの助けなんかいらないっていうんです?」

「ひっ!?・・そんなに睨まないでよ!」

「はいはい、2人とも仲良くね」
「あまり遅くならないうちに帰ってくるのよ?」

「わかってるよ、母ちゃん!」
その言葉を聞いたみんなが「・・・えっ?」と言いアミス先生を見る。

「・・・あっ!(かぁ~~~)」
バルルは顔を赤くするどころか虎模様の耳まで真っ赤だ。
どうやらアミス先生を間違って「母ちゃん」と呼んでしまったらしい。

「・・・ぷっ!先生とお母さんを間違えるなんて・・・!」
サツキはひたすら笑う。

「いや、違くてあたしはっ!」

「かっこわる~い!」
ヘタレーも笑う。
ヘタレーという名前が一番かっこわるいっと思うが・・・。

「うっ、うっ、うるさいっすよ!!!う~~~っ!」
顔を赤くしながら、照れながら皆に叫ぶ。

「アミス先生は皆の母上のようなものだからの」
「仕方ないのじゃ♪」
ローキーだけが笑顔のままフォローをする。


5月F



「うわ~~ん、ローキーさーん!」
ローキーの元に泣き付くバルル。

「よしよし、次からは間違えないようにの、ばるるん」
泣いているバルルの頭を撫でる。
みんなの笑顔がこぼれる。
それは、いつまでも。

誰かの助けを借りなければ生きていくことの出来ないこの世界。
それでも成長していけば一人で生きていかなければいけない、それでも親や友という存在がいつまでも自分にいるかぎり決して一人ではない。
それこそ、いつまでも・・・。

絆の樹も成長していきやがて、新緑の葉を出す。
それが皆に気づくのは少し後の話である。



おしまい。


5月G



-レーヴェリスから読者へ-
第5話お読みいただいてありがとうございました。
ついにバルルも仲間に入り賑やかになってきましたね。
初の男子生徒もヘタレーという名前に(笑)
今回は守護魔サツキルートを選びました。
サツキと妖精王のやりとりが面白くて、こういう感じでやり取りしていたのではないのでしょうか?
そして、母の日の要素も含めたお話でしたね。
皆さんも母親に良きプレゼントを。
それでは次の第6話でお会いしましょう。


著者:レーヴェリス
原作:エミル・クロニクル・オンライン『アルマたちと絆の樹 5時間目』
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